歯を失ったとき、多くの人が「インプラント」と「ブリッジ」のどちらを選ぶべきか迷います。見た目の自然さ、噛み心地、治療期間、そして費用など、それぞれに魅力と注意点があります。特にブリッジは比較的安価で治療期間も短いことから人気がありますが、長期的な歯の健康を考えると、必ずしも最適とは限りません。そこで今回は、「浜松歯科」の中野陽平先生に、治療を選ぶ際に押さえておきたい大切なポイントを伺いました。
中野先生によると、まず最初に確認すべきは「歯を失った原因」です。例えば、強い噛みしめや歯ぎしりなど、歯に過度な力がかかって抜歯に至った場合、ブリッジでは両隣の歯に大きな負担がかかり、かえって悪化するおそれがあります。また、虫歯や歯周病が原因の場合は、同じ生活習慣のままでは再発のリスクも高くなります。そのため、治療法を選ぶ前に、なぜ歯を失ったのかを特定し、再発を防ぐための対策を講じることが重要だといいます。
年齢や健康状態によっても、治療の適応は異なります。年齢制限はありませんが、インプラントの場合は重度の糖尿病や骨粗しょう症など、全身の健康状態によっては治療が難しいことがあります。一方で、ブリッジは失った歯の位置や本数、隣接する歯の状態が大きく関係します。特に保険診療では適応の基準があり、それを満たさない場合は選択できないケースもあるそうです。
さらに中野先生は、「健康な歯を削ること」についても慎重な判断が必要だと強調します。ブリッジ治療では、失った歯を支えるために両隣の健康な歯を削る必要がありますが、これは歯科医にとっても大きな決断です。健康な歯は、削らなければ一生使える可能性があるため、その価値を軽視すべきではありません。
「インプラントは確かに費用が30〜50万円ほどかかりますが、健康な歯の価値を考えると、それでも安いと感じるほどです。健康な歯は一度削ると二度と元には戻りません。だからこそ、費用面だけでなく、長期的に見た歯の価値を理解した上で判断してほしいのです」と中野先生は語ります。
最後に、先生からのアドバイスとして、「自分の歯を失った原因を理解することが、最適な治療選択への第一歩」との言葉が印象的でした。一般的な治療説明だけに頼るのではなく、なぜ自分の歯が失われたのか、どのような習慣が影響したのかを歯科医としっかり話し合うことが大切です。そのうえで、自分の健康状態や生活スタイルに合った方法を選ぶことで、長く快適な口腔環境を維持することができるでしょう。
